2026/09/18 12:00
映画『国宝』の好調が、公開から1年以上を経てもなお音楽・書籍チャートに波及している。2025年6月の映画公開、11月の実写日本映画興行収入歴代1位達成、2026年3月の日本アカデミー賞最多10部門受賞、そして同年6月のPrime Video独占見放題配信開始と、映画が節目を迎えるたびに、主題歌・サントラ・原作小説それぞれのチャートが連動して反応してきた(グラフ①)。
主題歌「Luminance」(原摩利彦 feat. 井口理)は、Billboard JAPANの総合ソングチャート"Hot 100"で、6月11日公開分(集計期間:2025年6月2日~8日)から6月18日公開分(集計期間:2025年6月9日~15日)にかけて12.5%増加。特にラジオは前週比190.6%増加と顕著な伸びをみせた。そして、日本アカデミー賞での受賞が話題になった2026年3月、Prime Videoでの見放題配信が始まった同年6月には、ダウンロード、MVのポイントが上昇。映画視聴にあわせて、楽曲も再評価されたことがうかがえる。
映画公開と同日の2025年6月6日にリリースされた『国宝 オリジナル・サウンドトラック』は、総合アルバムチャート“Hot Albums”で、6月11日公開分においてダウンロード40位にチャートイン。翌週は43.0%増加し22位に上昇し、10月1日公開分まで17週連続で100位以内へのチャートインが続いた。映画のロングヒットに伴い、映画を視聴する人が増加するとともに、作品内で使用された楽曲も新たな聴取者を獲得したことがうかがえる。また、主題歌と同様に、Prime Videoでの見放題配信が始まった2026年6月にはダウンロードポイントが再度上昇しており、動画配信開始が楽曲聴取にも連鎖したことがうかがえた。
原作小説も、映画の節目ごとに動いている。実写日本映画興行収入歴代1位達成が報じられた後の12月4日公開分(集計期間:2025年11月24日~30日)には、紙書籍(Eコマース)が上巻は前週比215.6%、下巻は前週比302.8%増加、サブスクリプションが上巻は前週比20.5%、下巻は前週比24.8%増加し、Billboard JAPANの書籍チャート“Book Hot 100”で、上巻15位、下巻18位に上昇した。
同年12月31日には、歌舞伎座大晦日特別上映会とライブビューイング中継が実施され、大きな話題に。2026年1月8日公開分(集計期間:2025年12月29日~2026年1月4日)では、SNSポイントが上巻は74.7%、下巻は49.5%増加と、イベントを契機に書籍もSNSで注目を集めた。
2026年3月13日には、日本アカデミー賞で最優秀作品賞などを受賞。書籍チャートでは、3月26日公開分(集計期間:2026年3月16日~3月22日)で、下巻が紙書籍(小売店)は前週比15.1%、サブスクリプションは前週比142.1%、SNSは前週比29.7%増加と、様々な接点で書籍への関心が高まった。
映画公開から1年を迎えた2026年6月6日には、Prime Videoで独占見放題配信が開始。6月18日公開分(集計期間:2026年6月8日~14日)では、上巻のサブスクリプションポイントが前週比136.8%増加し、95位から2位へ急上昇。さらに、翌々週の7月2日公開分では11週ぶり通算6回目の1位を記録。下巻も、6月25日公開分(集計期間:2026年6月15日~21日)でサブスクリプションポイントが前週比135.5%増加するなど、Prime Videoでの配信開始を契機に、映画だけではなく原作小説を通じて「国宝」に触れる機会も増えたことがうかがえる。
興味深いのは、映画公開・興行収入記録更新・日本アカデミー賞・配信開始という異なる性質のニュースそれぞれに対し、主題歌・サントラ・原作本という異なるフォーマットが、ほぼ同じタイミングで反応している点だ。とりわけ配信解禁時には、動画視聴という新たな接点をきっかけに、音楽・書籍の双方が同時に伸びる現象がみられた。血のつながりではなく芸への執念で歌舞伎の世界を継いだ主人公の物語さながらに、『国宝』という一本の映画も、吉沢亮・横浜流星ら俳優陣の演技を核とした物語の強さによって、音楽・書籍という異なる「血脈」を越えて作品の熱を広げ、スクリーンの外にもその「芸」を受け継ぐかのように、チャートに刻まれ続けている。
Text:Itchy
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